はじめに
【西洋菓子世界のあゆみ/吉田菊次郎薯】より簡単に抜粋
<現代はフランス革命直前>
現代にもっとも近い過去に最大の栄華を誇ったのがブルボン家によるルイ王朝。
周辺諸国から食を含めた様々な食文化が婚姻の度毎にフランスに流れ込み、フランス料理・フランス菓子が確立されていきました。
そして……
フランス革命直前はまさに文化の燗熟期。
今日に伝えられる概ねの料理やお菓子がこの時期に出揃ったと言っても過言ではありません。
しかし、当時の高められた食文化を享受できたのは王侯貴族や政府高官を含めた一部の特権階級に限られていました。
彼らは日々豊かな食卓に接するいわば飽食状態。
こうした人になおも食欲を起こさせるべく研究に勤しんだのが料理人であり製菓人でした。
今の世に生きる文明圏の私たちは、こと食に関して貴族階級顔負けの環境にいます。
同じく飽食状態。
美味なものはあり過ぎるほどあり、代価さえ払えば手に入らないものはありません。
つまり……
時代は変われど状況が同じであるなら求めるものもまた同じです。
いつの時代も、商いはたやすかざるもの。
商品開発はしなければなりません。
そこで必ず出る言葉が
「もう出尽くした」
(これは料理やスイーツの分野だけではありませんが)
しかしながら、そうした折に必ずヒントになるのが過去の記憶です。
古の先輩たちの足跡には多くの知恵と宝が秘められています。
<古典への回帰>
古典への回帰は単なる回帰ではなく、現代に調和するものではなくてはいけません。
例えば「健康」
現代人にとって留意すべき大きなテーマの一つとなりました。
カロリー等の問題から原材料に対してより多角的な見直し。
糖度の低い糖類や果糖、はちみつなどへの見直し。
各種添加物への配慮など……
味覚のバランスだけでなく、素材同士のコンビネーションなどの研究を、より前向きに促進させていく必要があります。